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褒められても空虚に感じる理由:承認欲求とつながりはどう違う?

褒め言葉が心に残らないのは、承認と理解される感覚が別の欲求だからかもしれません。あいまいな褒め言葉、自己認識とのずれ、ほしい言葉を頼む方法まで。

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プロジェクトを終えて「お疲れさま、さすがだね」と言われ、「ありがとう」と返したあとで、なぜか心がぽっかりしていることがあります。褒められて一瞬うれしくなっても、すぐに物足りなくなる。すると「褒められても満足できないなんて、わたしは認められたい気持ちが強すぎるのかな」という考えがついてくることもあるでしょう。

でもそれは、褒められる資格がないという意味でも、承認欲求が強すぎる証拠でもありません。いま必要なのが「よくやった」という評価なのか、自分の背景や事情をわかってくれるつながりの感覚なのかが違うのかもしれません。二つは似て見えても、心の別の場所を満たします。

褒め言葉が空しく感じられるからといって、特定の性格や状態を診断することはできません。疲れ、関係の文脈、褒め言葉の具体性、自己認識などが一緒に影響しています。

褒め言葉は有能感に、理解される感覚は関係性に届く

自己決定理論をまとめたライアンとデシは、人には三つの基本的な心理的欲求があると考えました。自分で選んでいるという感覚(自律性)、自分にはできるという感覚(有能感)、誰かとつながっているという感覚(関係性)です。三つは互いに影響し合いますが、どれかが別のものの代わりになることはできません。

褒め言葉はたいてい「あなたはよくやった」という有能感のサインです。一方、つながりの感覚は「自分が何を大事にしているかを知ったうえで尊重してくれる人がいる」という体験に近いものです。だから結果を褒められても、「わたしがなぜこの仕事にあれほどこだわっていたのかは、誰も知らないんだな」という気持ちが残ることがあります。

たとえば、何週間も残業しながらプレゼン資料をつくった人がいるとします。上司は「資料、すっきりしていたね」と褒めてくれます。間違ってはいないし、ありがたい言葉です。でもこの人が本当に聞きたかったのは、「あの部分を通すの、大変だったでしょう。あなたが粘ったから結果がよかったよ」といった言葉だったのかもしれません。前者は結果を見ていて、後者は過程と意図を見ています。このとき必要なのは、もっと大きな褒め言葉ではなく、過程や事情をたずねる一言なのかもしれません。

関係研究者のライスらは、「理解されているという感覚」が関係の満足度と個人の幸福感の両方にとって大切だとまとめています。興味深いのは、人が感じる「理解されている感覚」と、相手が実際に自分を正確に知っている度合いとのつながりが、思ったよりゆるやかだという点です。正確な分析よりも、「わかろうとしてくれている」というサインのほうが心に深く届くことがある、ということです。

あいまいな褒め言葉や大げさな褒め言葉がすぐ消える理由

「あなたって本当に最高」は好意から出た言葉ですが、何がよかったのかはわかりにくいものです。具体的な観察があると、フィードバックを自分の経験と結びつけやすくなります。「難しい話し合いを避けずに、前もって準備していたのが印象的だった」のように行動を指してもらえると、聞いた側はその褒め言葉を「自分がしたこと」にしっかり結びつけておけます。

褒め方の方向についての研究もあります。ミューラーとドゥエックの1998年の研究では、小学生に「頭がいいね」と能力を褒めた場合より、「がんばったね」と努力を褒めた場合のほうが、その後の難しい課題で粘り強さや興味が保たれやすいという結果が出ました。ブルンメルマンの研究チームは2014年に、「信じられないくらい上手!」のような大げさな褒め言葉が、自尊心の低い子どもにはかえって挑戦を避けさせる可能性があると報告しています。どちらも子どもを対象にした研究なので、大人にそのまま当てはめるのは慎重であるべきです。ただ、人全体をひとまとめに評価するより、努力や工夫、具体的な行動を指す言葉のほうが受け取りやすいという方向性は、大人にとっても十分参考になります。

大げさな褒め言葉は、ときに負担となって返ってくることもあります。「さすが最高だね」と言われた瞬間、次も最高でいなければならないような気がするからです。褒められてうれしさより先に緊張がくる人は、褒め言葉の量ではなく、その言葉が求める基準の重さを感じているのかもしれません。

自分が思う自分とかけ離れていると、褒め言葉は居心地が悪い

褒め言葉が空しいもう一つの理由は、自己認識との距離です。スワンの自己確証理論では、人は自分についてもともと持っている考えを確かめてくれるフィードバックを求める傾向があると説明しています。自分を低く評価している人は、前向きな言葉を聞いても、それを信じるより「よく知らないから言っているだけだろう」と押し返しがちです。

ウッドらの2005年の研究では、自尊心の低い人は成功を経験したあと、喜びより不安を強く感じる傾向が見られました。成功が予想外だったために、かえって「次はどうしよう」という心配を呼んでしまうのです。アンケートと実験が中心の研究なので、すべての人に当てはまるとはいえません。それでも、褒め言葉がなぜ落ち着かない、居心地の悪いものに感じられるのかを理解する助けにはなります。

たとえば、ずっと「わたしは空気が読めない」と思ってきた人が、友人から「あなたって本当に人の気持ちをわかってくれるよね」と言われたとします。ありがたい反面、「それはわたしじゃない」という違和感もついてきます。このとき「どうして褒め言葉ひとつ素直に受け取れないんだろう」と自分を責めるより、「この言葉は自分の経験とどこでずれているんだろう」と見てみるほうが役に立ちます。友人が見た場面を具体的にたずねてみると、自分では気づいていなかった一面を一つ知ることができるかもしれません。

空しさを「必要なもの」に変える質問

褒められたのに物足りないときは、その物足りなさを「何が足りないのか」を教えてくれる手がかりとして使うことができます。次の質問に短く答えてみてください。

  1. いま必要なのは、結果への承認か、過程への理解か?
  2. 褒め言葉があいまいで遠く感じたのか、自分の思う自分と違っていて違和感があったのか?
  3. この褒め言葉を聞いたあと、喜びより先に負担を感じたか?
  4. いま足りないのは、承認、理解、休息、誰かと一緒にいることのうち、どれに近いか?
  5. いま誰かに言ってほしい一言は何か?

答えが整理できたら、それをお願いの言葉に変えることができます。「褒めてくれてありがとう。とくにどこがそう感じた?」とたずねれば、あいまいな評価が具体的な観察に変わります。つながりが必要なら、「結果を認めてもらえるのもうれしいけど、わたしがなぜこの仕事を大事に思っていたのかを聞いてもらえるほうが、いまは力になりそう」と伝えることもできます。最初はぎこちなくても、自分が望む反応を言葉にすることは、相手にとっても親切なことです。相手はあなたを助けたいのに、方法がわからない場合が多いからです。

うれしい知らせを伝えるときも同じです。よいことを話したときに相手がどう受け止めてくれるかは、褒め言葉ひとつよりも長く心に残ることが多いものです。

褒め言葉の量より、関係の質を見直す

よい人間関係があらゆる空しさを解決してくれるわけではありません。ただ、褒められる回数より、自分が尊重され理解されていると感じられる関係があるかどうかのほうが大切な場合があります。あちこちで褒められているのにずっと物足りないなら、褒め言葉をもっと集めるより、本音を話せる関係を一つ大事に育てるほうが助けになることが多いでしょう。

自分がどんな言葉で満たされるのかを知る

褒められても空しいなら、「どうしてわたしは満足できないんだろう」より「わたしはどんな言葉を聞いたときに理解されていると感じるんだろう」と問いかけるほうが役に立ちます。心のニーズ診断テストは、自分が愛されている、安全だ、理解されていると感じるサインが何なのかを気軽に見てみるためのツールです。結果があなたを決めつけるわけではありません。身近な人に「わたしはこういう言葉が力になる」と伝える表現を探すのに使ってみてください。

この記事は診断を目的としたものではありません。空しさや自分には価値がないという感覚が長く続き、睡眠や仕事、人間関係が大きく揺らいでいる場合や、自分を傷つけたい気持ちをともなう場合は、身近な人や心の専門家にすぐ助けを求めてください。自殺予防相談電話109(韓国)は24時間つながります。韓国以外にお住まいの方は、お住まいの地域の緊急通報先や相談窓口へ連絡してください。

褒め言葉が空っぽに聞こえた日は、じつはもっと深い言葉を待っていた日だったのかもしれません。その言葉を、自分から先に口にしてみてもいいのです。

参考文献

  • Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2000). Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being. American Psychologist, 55(1), 68–78.
  • Reis, H. T., Lemay, E. P., & Finkenauer, C. (2017). Toward understanding understanding: The importance of feeling understood in relationships. Social and Personality Psychology Compass, 11(3), e12308.

自分を評価する心

全8話中6話
  1. 01 自己肯定感を育てるには?褒め日記より先に見直したいこと
  2. 02 自尊心と自己肯定感の違いは?誇りが傷ついたときの整理法
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