要点:恋人のLINEがそっけなくて寂しいのは、私が気にしすぎだから?
- 寂しさやモヤモヤは「気にしすぎ」の証拠というより、「自分にとって大事な何かが満たされなかった」というサインに近いものです。
- 「私って気にしすぎ?」と友だちや恋人に何度も聞いてしまうのは、「過剰な安心希求」にあたることがあります。研究では、この行動とうつとの関連の大部分が、愛着不安によって説明されました。
- 安心させてもらっても一瞬だけで、すぐにまた聞きたくなるなら、問題は答えの中身ではなく、聞き方のほうにある可能性が高いです。
- モヤモヤは「どっちが正しいか」を問う質問ではなく、「私はこういうとき、こうしてほしい」というお願いに言い換えると、ずっと伝わりやすくなります。
- 確認したい気持ちをひたすら我慢しなさい、という話ではありません。不安が日常を揺るがすほどなら、一人で抱え込まないことが先です。
夜11時。就活のESをやっと1問書き終えてLINEを開くと、恋人からの返信は「おつ〜」のひと言。さっき面接の結果について長文を送ったのに、です。なんだか寂しくなって、友だちとのグループにスクショを貼り、「私って気にしすぎ?」と聞いてみます。友だちの反応は「いや、それはモヤるよ」「でも疲れてたんじゃない?」と半々。答えはもらえたのに気持ちが晴れなくて、今度は恋人に「私に興味ないの?」と送ってしまいます。
こういう相談がネットの相談掲示板に載ると、コメントはたいてい2つに分かれます。「それは寂しくて当然」と「そのくらいで寂しがってたら恋愛しんどそう」。どちらも間違いではないのですが、投稿した本人が次に何をすればいいのかは、あまり書かれていないんですよね。寂しさがどこから来るのか、「気にしすぎ?」という質問がなぜ答えをもらっても解消しないのかが分かると、次に送る一文が変わってきます。
寂しいと感じるのは、間違った感情ではありません
寂しさは、期待と現実のあいだにすき間ができたことを知らせる通知のようなものです。面接の話を長文で送った人は、「おつかれさま、どうだった?」くらいの反応を期待していたはず。その期待が満たされなかったのですから、寂しく感じるのは自然なことです。感情そのものに正しいも間違いもありません。
ただ、感情が正当だからといって、その解釈まで正しいとは限りません。「おつ〜」は「あなたに興味がない」という意味かもしれませんが、帰りの満員電車で片手で打った返信かもしれないんです。寂しさは大事にしつつ、その寂しさがつけた解釈については、一度確かめてみる余地を残しておくのがおすすめです。
関係性の研究者ジョン・ゴットマンは、カップルがお互いに送り合う小さな「かまってほしい」の合図を「ビッド(bid)」と呼びました。ドライバーとゴットマン(Driver & Gottman, 2004)は、新婚夫婦49組が研究室内に用意されたアパート風の部屋で夕食をとる10分間の場面と、対立について話し合う15分間の場面を観察しました。ふだんからこうした小さな合図に相手が応じている夫婦ほど、対立についての話し合いでもユーモアや愛情表現が多く見られたんです。面接の話を長文で送ったLINEも、一種のビッドです。そこに数文字の返信が返ってきたら、寂しくなるのも無理はありません。ただしこの研究は結婚して間もない夫婦が対象なので、付き合い始めのカップルやLINEのやりとりにそのまま当てはめられるわけではない、という点は覚えておいてください。
「私って気にしすぎ?」と何度も聞いてしまう理由(過剰な安心希求)
同じ質問を、何人にも、何度も聞いてしまうことがあります。心理学ではこれを「過剰な安心希求(excessive reassurance seeking)」と呼びます。ルーツはジェームズ・コイン(Coyne, 1976)による、うつの対人関係理論です。コインは、気分が落ち込んでいる人がまわりに「私、大丈夫な人だよね?」と確認し続け、安心させてもらっても「本心じゃなくて、気をつかって言ってるだけでしょ」と信じきれずにまた聞いてしまう、という循環を説明しました。1990年代にはジョイナーらがこの行動を単独で測る項目を作って研究を重ね、1999年の論文(Joiner et al., 1999)で理論をまとめています。
スターとダビラ(Starr & Davila, 2008)は、関連研究を集めてメタ分析を行いました。38の研究を合わせると、過剰な安心希求とうつの相関は.32。16の研究で見た安心希求と対人的な拒絶の相関は.14と小さめで、恋人関係ではもう少し大きくなりました。確認が多いからといって相手がすぐ離れていくわけではないものの、関係に少しずつ負担が積み重なっていく、と読むことができます。著者たちも、研究方法の多くが似たようなアンケートに頼っているという限界を指摘しています。
友だちのグループで聞いてもうまくいかない理由も、ここにあります。スクショを貼るとき、私たちはたいてい寂しかった部分だけを切り取って見せますよね。その日恋人が残業だったという文脈は抜け落ち、自分の長文と短い返信だけが残ります。友だちはその切れ端だけを見て判断するので、答えが分かれるのは当然です。そしてどちらの答えをもらっても、「でも別の子は違うって言ってたし」とまた不安になる。結局、友だちの判定は安心を長くつなぎとめてはくれないんです。
ここで大事なのは、これが性格の欠陥ではないということです。不安なときに確かめたくなるのは、人としてごく自然な反応です。問題になるのは、確認しても安心が長続きせず、何度もくり返してしまうときです。
不安が強いほど、確認も増えていきます(愛着不安)
では、どんな人が特にくり返し確認してしまうのでしょうか。シェイバーら(Shaver, Schachner, & Mikulincer, 2005)は、カップル72組と61組を対象に2つの研究を行い、2つ目の研究では2週間毎日日記もつけてもらいました。過剰な安心希求はうつと関連していましたが、その関連の大部分は愛着不安で説明されました。見捨てられるのではという心配が大きいほど、確認も増えるということです。パートナーの側も、相手がよく確認してくることに気づいていました。
ミクリンサーとシェイバーは、愛着不安が高い人のこうした反応を「過活性化方略」と呼んでいます。不安のサインが来ると愛着のしくみを大きく作動させて、相手の関心をもっと強く引き寄せようとするわけです。返信までの時間を測る、文面のトーンを分析する、友だちにスクショを見せる。こうした行動はすべてここに入ります。返信が遅いと心が崩れてしまうパターンについては、不安型愛着:返信が遅いと崩れてしまう心でくわしく取り上げています。
過活性化の落とし穴は、確認が不安を減らすどころか、かえって大きくしてしまうことがある点です。「私に興味ないの?」と聞けば、相手は身構えて「そういうわけじゃないよ」と短く返しがちで、その短い返事がまた新しい寂しさを生んでしまいます。
送信する前に、一度チェックしてみてください
- この寂しさを感じたのは今日が初めてですか?それとも、似たようなことが何度か積み重なっていますか?
- 今聞きたいのは「私が気にしすぎか」ですか?それとも「相手が私を好きかどうか」ですか?この2つは別の質問です。
- 同じスクショを3人以上の友だちに送っていませんか?そうなら、答えより不安のほうが先に走っているのかもしれません。
- ESの締め切りや面接の結果待ちなど、ほかのストレスが重なっている日ではありませんか?余裕のない日は、小さなことも大きく感じるものです。
- 相手が安心させてくれたのに、まだ気持ちが晴れませんか?それなら、次の確認を送るのを1時間だけ先延ばしにしてみてください。
2つ以上当てはまるなら、送ろうとしていたメッセージは「気にしすぎ?」というより、「不安をなだめてほしい」というお願いに近いものです。そういうときほど、下の例のように必要なことを直接伝えるほうがこじれにくくなります。
寂しさを伝える3つの文例
「どっちが正しいか」を聞く代わりに「私には何が必要か」を伝えると、会話の流れが変わります。そのままコピーしてアレンジできるよう、3パターンにまとめました。
1. 事実+自分の気持ち+お願い
「さっき面接の話を長めに送ったんだけど、返事が短くてちょっと寂しかった。今日は私にとって大きな日だったんだ。時間があるときに、どうだったか一回だけ聞いてくれるとうれしいな。」
責めることなく、何があったのか、自分がどう感じたのか、何をしてほしいのかを順番に伝えます。最後のお願いが具体的なほど、相手も応えやすくなります。
2. 解釈を確かめるパターン
「もしかして今日すごく忙しかった?返事が短かったから、私が勝手に気にしちゃったかなと思って。」
自分の受け取り方が合っているかをたずねる文です。「興味ないの?」と違って、相手に説明する余地を残してくれます。
3. ふだんのルールを提案するパターン
「私、大事な話をしたときは、短くてもいいから反応があると安心するタイプなんだ。忙しいときは『あとでちゃんと読むね』のひと言だけでもうれしい。」
一度の寂しさを越えて、これからの約束をつくる文です。お互いの表現のしかたが違うときに特に役立ちます。表現の違いがくり返し問題になるなら、T型とF型の会話術もあわせて読んでみてください。
文例を使うときの落とし穴もひとつあります。同じ日に同じことで3回、4回と送ってしまうと、結局は確認のくり返しになってしまいます。一度伝えたら相手の反応を待ち、そのあいだは別のことに気持ちを向けてみましょう。
待っているあいだに試してみてほしいことがあります。メモアプリに、今の気持ちを単語で書き出してみることです。「寂しい、ちょっと不安、疲れた」くらい短くて大丈夫です。リーバーマンら(Lieberman et al., 2007)は、参加者に怒った顔やおびえた顔の写真を見せながら、写真の感情に名前を選んでもらう条件とそうでない条件をfMRIで比べました。感情に名前をつけた条件では、扁桃体の反応が小さくなったんです。実験室で他人の顔写真を見たときの結果なので、自分の恋愛感情にもまったく同じように効くとは言い切れません。それでも書くのは1分で済むので、損はないはずです。書いているうちに、「寂しい」より「面接で疲れきっている」のほうが大きかったと気づく日もあるでしょう。
逆の方向も一度は確かめておく必要があります。お願いをはっきり伝えたのに何週間も同じように流されたり、寂しいと言うたびに「気にしすぎだよ」と返されたりするなら、それは自分の感情コントロールだけの問題ではないかもしれません。特に、相手があなたの記憶や気持ちを「間違っている」と言い続け、自分を疑うように仕向けてくるなら、恋人間のガスライティングの例を読んでみてください。「私って気にしすぎ?」が口ぐせになった理由が、自分の不安ではなく関係のあり方にある可能性もあるからです。
関係のなかで自分が何を求めているかを知っておく
寂しさを感じやすいポイントを見ていくと、自分の感情的なニーズが見えてきます。すぐ返信が来ることに愛情を感じる人もいれば、自分の話を覚えていてくれることに愛情を感じる人もいるんです。感情的ニーズ診断では、関係のなかで安心できる、分かってもらえていると感じるサインがどこに集まっているかが分かります。結果は診断ではなく、恋人に「私はこういうときに安心する」と伝える言葉を選ぶための材料として使ってみてください。
ここまでの内容は診断ではありません。確かめたい気持ちが一日中頭から離れなかったり、返信ひとつで眠れず日常が崩れる日が続いたりするなら、身近な相談窓口やメンタルヘルスの専門家に相談してみてください。つらさが強くて自分を傷つけたい気持ちが浮かぶときは、「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間・無料)や「いのちの電話」(0570-783-556)に電話することができます。ほかの相談先は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」でも探せます。
「私って気にしすぎ?」という質問には、実は正解がありません。寂しさはただそこにあるもので、選べるのはそれをどう伝えるかだけです。今夜スクショをグループに貼る前に、恋人に送る一文をまずメモアプリに書いてみてはどうでしょうか。
参考文献
- Coyne, J. C. (1976). Toward an interactional description of depression. Psychiatry, 39(1), 28–40. https://doi.org/10.1080/00332747.1976.11023874
- Joiner, T. E., Metalsky, G. I., Katz, J., & Beach, S. R. H. (1999). Depression and excessive reassurance-seeking. Psychological Inquiry, 10(3), 269–278. https://doi.org/10.1207/S15327965PLI1004_1
- Starr, L. R., & Davila, J. (2008). Excessive reassurance seeking, depression, and interpersonal rejection: A meta-analytic review. Journal of Abnormal Psychology, 117(4), 762–775. https://doi.org/10.1037/a0013866
- Shaver, P. R., Schachner, D. A., & Mikulincer, M. (2005). Attachment style, excessive reassurance seeking, relationship processes, and depression. Personality and Social Psychology Bulletin, 31(3), 343–359. https://doi.org/10.1177/0146167204271709
- Mikulincer, M., & Shaver, P. R. (2003). The attachment behavioral system in adulthood: Activation, psychodynamics, and interpersonal processes. Advances in Experimental Social Psychology, 35, 53–152.
- Lieberman, M. D., Eisenberger, N. I., Crockett, M. J., Tom, S. M., Pfeifer, J. H., & Way, B. M. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421–428. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2007.01916.x
- Driver, J. L., & Gottman, J. M. (2004). Daily marital interactions and positive affect during marital conflict among newlywed couples. Family Process, 43(3), 301–314. https://doi.org/10.1111/j.1545-5300.2004.00024.x
